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最高裁判所第三小法廷 昭和50年(オ)684号 判決 1975年12月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人松島朝永の上告理由第一点及び上告代理人照屋寛徳、同古謝剛男の上告理由第一点について

甲から所有権を譲り受けてその登記を経由した乙は、登記簿滅失による回復登記申請期間を徒過しても、乙の登記後甲から所有権を譲り受けた丙に対し、自己の所有権取得を対抗できることは、当裁判所の判例(昭和三一年(オ)第七四九号同三四年七月二四日第二小法廷判決・民集一三巻八号一一九六頁)とするところであつて、右判例は変更を要しない。したがつて、原判決の確定した事実関係のもとにおいては、被上告人井上良が参加人らに対し登記なくして本件土地の所有権を対抗しうるものとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同各第二点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、原判決を正解せず若しくは独自の見解に基づき原判決を論難するものであつて、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 天野武一 裁判官 坂本吉勝 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

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